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福岡地方裁判所 昭和46年(ワ)1181号 判決 1972年2月29日

原告 金生喜造

被告 和田ヨシヱ

右訴訟代理人弁護士 林善助

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は「別紙目録(一)記載の不動産につき昭和三八年六月二二日福岡法務局西新出張所受付第一七六六号をもってなされた所有権移転仮登記抹消登記の申請書に添付行使された保証書並びに確認ハガキ及び同目録(二)記載不動産につき前同日同出張所受付第一一七六七号をもってなされた所有権移転仮登記抹消登記の申請書に添付行使された保証書並びに確認ハガキがいずれも無効であることを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め(た。)≪省略≫

被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め(た。)≪以下事実省略≫

理由

職権により調査するに、本件において真否確認の求められている文書は、登記義務者を原告、保証人を被告とする登記義務者の人違いなきことを保証する旨の保証書二通と登記官吏から登記義務者原告に対する登記申請確認回答ハガキ二通であるが、右各文書は、もと訴外竹山倉松所有名義の別紙目録不動産二筆に対する原告の仮登記を抹消するため抹消登記申請書に添付行使されたものであり、右抹消をめぐって原告は訴外竹山倉松を相手取り右不動産二筆の所有権確認ならびにその引渡を求めて福岡簡易裁判所に提訴(同庁昭和三九年(ハ)第五三四号)し、控訴(当庁当部昭和四一年(レ)第一〇号)、上告(福岡高等裁判所昭和四四年(ツ)第六二号)を経たが、遂に原告の敗訴に確定したこと、右各事件においてはいずれも前記各文書の真否が争われ、判断のうえ、さきの結論に到達されたことが明らかである。右の如く文書の真否が前審において判断され、その書面により証せらるべき法律関係につき既に当事者を拘束すべき確定判決のある以上改めて書面の真否を確定すべき利益はないと解するのが相当であるから、本訴は確認の利益なきものとして却下を免れない。

よって本件訴を却下すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 麻上正信)

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